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火災保険で費用はまかなえる?瓦屋根の被害を放置する深刻なリスクと応急処置をプロが解説
はじめに
 
近年、地球温暖化の影響もあり、大型化・激甚化する台風のニュースを耳にすることが増えました。
暴風や大雨は住宅に甚大な被害をもたらしますが、中でも日本家屋に多い瓦屋根は、強風による被害を受けやすい箇所の一つです。
「台風の後に瓦がずれている気がする」「わずかな雨漏りだから大丈夫だろう」と、被害を軽視していませんか?
瓦の破損やわずかな雨漏りも、決して放置してはいけません。
気づかないうちに住宅の構造にダメージを与え、大きな二次被害を引き起こす危険性があります。
この記事では、台風で瓦が破損した際に起こりうる深刻なリスク、緊急時の応急処置、そして気になる修理費用や火災保険の適用について詳しく解説します。
大切な住まいを守るために、ぜひ参考にしてください。
台風による瓦屋根の被害は放置厳禁!見えないところで進行する深刻なリスク
 
台風の強風で瓦が破損した場合、その被害は目に見える部分だけにとどまりません。
瓦が飛散する、割れるといった直接的な被害の裏で、建物の内部では深刻な劣化が進行します。
また台風による屋根への被害全般についてはこちらの記事でもご紹介しております。
▶︎台風で傷んだ屋根を修理するには?:修理方法や火災保険の活用法まで
瓦の破損やズレが招く「雨漏り」のメカニズム
瓦屋根は、瓦を重ねることで雨水の浸入を防いでいます。
しかし、強風によって瓦がズレたり、ヒビが入ったりすると、その隙間から雨水が浸入します。
特に被害を受けやすいのが、瓦を固定する土台として使われている漆喰(しっくい:瓦を固定するための接着剤のようなもの)や、屋根の頂上部分の棟(むね:屋根の頂上にある山型の部分)を覆う棟板金(むねばんきん:棟を覆っている金属製のカバー)です。
これらの箇所が破損したり剥がれたりすると、水の浸入経路が生まれてしまいます。
雨漏りの放置が引き起こす「二次被害」の危険性
浸入した雨水は、瓦の下にある野地板(のじいた:屋根の下地となる板)や、建物を支える木材を濡らし続けます。
これが、住宅の寿命を縮める重大な二次被害へと発展するのです。
建物の構造材の腐食 木材が腐朽し、住宅の耐久性や耐震性が大幅に低下します。
特に地震や次の台風の際に、屋根が崩落するリスクが高まります。
シロアリの発生
湿気を帯びた木材はシロアリにとって最適な環境です。
シロアリが木材を食べ尽くすことで、さらに建物の強度が失われます。
カビ・ダニによる健康被害
雨漏りによる湿気で天井裏や壁の内側にカビが発生し、アレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす原因になります。
抵抗力の弱い小さなお子様や高齢者の方は特に注意が必要です。
漏電・火災のリスク
雨水が電気配線に触れると、漏電による家電の故障や、最悪の場合、火災につながる可能性もあります。
瓦屋根の緊急応急処置と確認すべき点
 
台風によって瓦の破損や雨漏りを発見した際、どのように対応すれば良いのでしょうか。
重要なのは、「危険を避けて最小限の被害で食い止める」ことです。
絶対に自分で高所に登ってはいけない
瓦の修理や屋根の点検は、絶対に専門業者に任せてください。
台風直後の屋根は、瓦が不安定になっている、濡れて滑りやすい、強風で体が煽られるなど、非常に危険な状態です。
転落事故の危険性が高いため、たとえわずかなズレであっても、ご自身で屋根に登ることは絶対に避けるべきです。
室内でできる緊急時の「応急処置」
雨漏りが発生した場合、室内の被害拡大を防ぐための応急処置を行いましょう。
まず雨水が垂れてくる真下にバケツや洗面器などの容器を置きます。
そして容器の中にタオルやボロ布を入れておくと、水が跳ねるのを防ぐことができます。
また広範囲で雨漏りしている場合は、床や家財にビニールシートを被せて保護してください。
持ち家ではなく賃貸アパート・マンションの場合は、速やかに管理会社やオーナーへ連絡しましょう。
現状を写真に撮り、被害状況を正確に伝えることが大切です。
専門家が点検すべき瓦屋根の被害箇所
専門業者に依頼する際、被害状況を伝えるために、地上からでも確認できる範囲でチェックしておくとスムーズです。
まず一部でも瓦がなくなっていたり、大きくずれていたりしないか確認しましょう。
次に屋根の頂上部分(棟)の瓦や棟板金が浮いたり、剥がれたりしていないか確認してください。
また雨水を集める雨樋(あまどい)が、強風で歪んだり外れたりしていないか確認しましょう。
瓦と瓦の隙間を埋める漆喰が剥がれて、中の土が見えていないか確認することも重要です。
これらの破損箇所を見つけたら、すぐに私たちのような屋根修理のプロにご相談ください。
台風で瓦が破損したら?火災保険の活用
 
台風による瓦屋根の修理は、決して安価なものではありません。
しかし、多くのケースで火災保険の風災補償が適用できます。
費用負担を軽減し、迅速に修理を行うために、保険の活用法を理解しておくことが大切です。
火災保険で台風被害の修理費用が賄える可能性
台風による瓦の破損や雨漏りは、火災保険の「風災」として補償の対象となります。
火災保険という名称ですが、火事だけでなく、風や雪、落雷といった自然災害による建物の被害を補償するために設計されているのです。
保険が適用される条件の例としては、以下のようなケースが挙げられます。
・強風によって瓦が飛散・割れたことによる修理
・暴風で瓦がずれて発生した雨漏りの修理
・強風で棟板金や雨樋が破損した際の修理
ただし、保険が適用されるにはいくつかの注意点があります。
保険適用外になる主なケースは、以下の通りです。
・経年劣化と判断された場合: 被害の原因が、台風ではなく単なる建物の老朽化によるものだと判断された場合。
・被害発生から3年以上経過している場合: ほとんどの保険会社で、保険金請求には3年の時効が設定されています。
・修理費用が免責金額(めんせききんがく:保険金が支払われる際に自己負担となる金額)以下の場合: 契約内容によっては、修理費用が自己負担額(免責金額)を超えないと保険金が支払われないことがあります。
まずはご自身の契約している火災保険の内容を確認し、保険会社と専門業者に相談することが、費用負担を軽減する第一歩です。
保険申請から修理までの流れ
保険を活用した修理は、以下の流れで進むのが一般的です。
まず、台風による被害があった旨を契約している保険会社に伝えます。
次に被害状況の調査と、修理にかかる費用の見積もり、そして保険申請に必要な「被災写真」の撮影を業者に依頼します。
依頼後には、業者作成の見積書や被災写真を添えて、保険申請書を保険会社へ提出し、保険会社から派遣された保険認定員が現地調査を行う場合があります。
認定が下りると保険金が支払われ、修理工事の開始です。
この手続きをスムーズに進めるためには、保険に関する知識と実績を持った、信頼できる修理業者を選ぶことが不可欠です。
まとめ
また台風の被害を放置するとより深刻な被害につながります。
ぜひこの記事を参考にして、大切なお住まいをお守りください。
