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【外壁 水切り 雨漏り】見落とし厳禁!建物を守る「水切り」の役割と補修の重要性
はじめに
 
お住まいの雨漏りというと、「屋根」が原因だと思われがちです。
しかし、実は外壁からの雨水の浸入も非常に多く、特に注意が必要なのが、外壁の要所に取り付けられている「水切り」と呼ばれる部材です。
水切りが正しく機能しなくなると、家を支える大切な構造材が腐食し、大規模な修理が必要になるケースも珍しくありません。
このページでは、水切りの基礎知識から、それが原因で起こる雨漏りのメカニズム、そして適切な補修の重要性について、分かりやすく解説いたします。
「水切り」とは?家を雨から守る縁の下の力持ち
 
多くの方にとって耳慣れないであろう「水切り」ですが、これは建物を長持ちさせるために欠かせない、非常に重要な建材です。
水切りの基本的な役割と「雨仕舞」
水切りは、建物の外壁や屋根といった異なる部材同士が接する境目に取り付けられ、雨水がその隙間から内部へ伝って入るのを防ぐ役割を担っています。
雨水は重力に従って上から下へと流れますが、建物の表面に沿って流れる途中で、わずかな隙間や裏側に回り込もうとする性質があります。
水切りは、この水の流れを一旦断ち切り、確実に外側へ排水するようにコントロールする機能を持つものです。
この、雨水を建物内部に入れないようにする一連の仕組みのことを、建築用語では「雨仕舞(あまじまい)」と呼びます。
水切りは、この雨仕舞において、雨漏りを未然に防ぐために非常に重要です。
屋根の水切りに関しては以下の記事でも詳しくご紹介しています。
ぜひ併せてご確認ください。
▶︎屋根の「水切り」が家を守る鍵!雨漏り対策と種類を徹底解説
水切り劣化を放置する重大なリスク
水切り板金(水切りに使われる薄い金属の板)が劣化して機能しなくなると、水が建物の内部へと浸入を始めます。
その結果、以下のような深刻な被害を引き起こす可能性があります。
まず、建物を支える下地(したじ)の腐食です。
外壁や屋根の内部にある木材が常に湿った状態となり、腐りやすくなります。
これは建物の耐久性を大きく低下させる原因となりますし、さらに湿気が溜まることでカビが発生します。
カビは建材を傷めるだけでなく、カビの胞子を吸い込むと人体に悪影響を及ぼす恐れもあるため危険です。
また、湿って柔らかくなった木材は、シロアリにとって格好の餌場となり、被害を加速させてしまいます。
最後に、窓の下などに設置される水切りが機能しないと、汚れた雨水が外壁を伝い、「伝い水」と呼ばれる黒い筋となって美観を損なうことにもなります。
雨漏りを防ぐ「水切り」の設置箇所と主な種類
 
水切り板金は、雨水が侵入しやすい場所に合わせて、さまざまな形と名称で使われています。
ここでは、特に外壁の雨漏りに直結しやすい水切りの種類と、その役割を解説します。
外壁の下部にある「土台水切り」
外壁の一番下の部分、コンクリートの基礎との境目には「土台水切り」が取り付けられています。
この水切りの役割は、外壁を伝ってきた雨水が、外壁と基礎のわずかな隙間から内部に浸入したり、基礎自体にしみ込んだりするのを防ぐことです。
多くの住宅では、この土台水切りに空気が通る穴が設けられています。
これは、壁の内部に湿気がこもるのを防ぎ、結露やカビから構造材を守る「外壁通気工法」の一部としての、換気の役割も兼ねているのです。
構造上最も注意が必要な「雨押え水切り板金」
建物の構造上、特に雨漏りを起こしやすい箇所が、2階の外壁と、それに接する1階の屋根の接合部です。
ここには「雨押え水切り板金」が設置されます。
2階の壁を伝ってきた雨水が集中し、最も水が溜まりやすい場所ですから、雨押え水切り板金は、この接合部をしっかりと覆い、雨水を屋根の上へと確実に受け流すことで、内部への浸入を防ぎます。
構造的に雨水が集まりやすいため、設置が不十分だったり、板金が少しでも浮いたり変形したりすると、すぐに雨漏りにつながるため注意が必要です。
窓と美観を守る「サッシ水切り」
窓のサッシ(枠)の下側に取り付けられているのが「サッシ水切り」です。
この水切りは、窓枠に溜まった雨水や結露の水が、窓台(まどだい)から直接外壁内部に入り込むのを防ぎます。
これがないと、水が外壁を伝って流れ落ち、外壁に黒い筋状の汚れ(伝い水)が残ってしまうため、建物の美観を保つ上でも重要な役割を果たしているのです。
屋根にも欠かせない水切り
水切りは外壁だけでなく屋根にも不可欠な存在です。屋根の先端(軒先)で、雨水を雨樋へ確実に導くのが「軒先水切り板金」です。
昔ながらの瓦屋根では、唐草模様に似ていることから「唐草」とも呼ばれます。
また、切妻屋根(きりづまやね:本を伏せたような形の屋根)の、雨樋がついていない傾斜側の端を保護するのが「ケラバ水切り板金」です。
このように、水切りは家全体を包み込むように張り巡らされ、さまざまな角度から降る雨や風から建物を守っているのです。
水切りが原因で雨漏りするケースと劣化のサイン
 
外壁からの雨漏りの多くは、水切りの劣化や、水切りと外壁の隙間を埋めている部分の不具合から発生します。
特に、ご自身でも確認できる劣化のサインを把握しておきましょう。
水切り周辺の劣化が雨漏りを引き起こすメカニズム
水切り板金は、屋根材や外壁材といった主役の建材の「繋ぎ目」という、常に負荷がかかっている箇所に取り付けられています。
建物は地震で揺れたり、建材が温度変化でわずかに伸縮したりするため、この繋ぎ目には常にストレスがかかっています。
具体的に劣化が進むと、いくつかの問題が発生します。
まず、水切りは金属(主にガルバリウム鋼板など)でできているため、紫外線や雨風に長期間晒されることで、塗膜が剥がれ、錆びが発生するでしょう。
錆びが進むと板金に穴が開き、雨漏りの原因になります。
また、強風や積雪、小さな衝撃などによって水切り板金が歪んだり、固定している釘やビスが緩んで浮き上がったりすることもあり、そこから水が裏側に回り込み、浸水につながってしまいます。
最も重要な防水の要となるのが、水切りと外壁の隙間を埋めるシーリング材です。
このシーリング材は、経年で硬くなり、ひび割れや剥がれを起こします。
この防水の要が機能しなくなると、水切り板金の内側へ雨水が直接浸入してしまうことになります。
早めに気づきたい!水切り劣化の具体的なサイン
ご自宅の水切りに以下のようなサインが見られたら、雨漏りが発生する前の早期対応が必須です。
水切り板金に赤茶色い錆びや腐食が見られたら、金属が劣化している証拠であり、放置すると板金に穴が開く恐れがあるでしょう。
また、外壁との境目にあるゴム状の防水材、つまりシーリングにひび割れが見られたり、痩せて隙間ができている場合、防水性能が低下しているかもしれません。
さらに、強風の後などに水切りが壁から少し離れて浮いているように見える場合、内部で水が回っているか、固定が外れている可能性があります。
窓の下などに特定の箇所だけ黒い筋状の汚れがひどい場合も、サッシ水切りがうまく排水できていない可能性があり、注意が必要です。
まとめ
外壁や屋根の「水切り」は、建物を雨漏りから守り、長持ちさせるために欠かせない、非常に重要な部材です。
水切り板金が錆びたり、歪んだり、シーリングが劣化したりすると、そこから水が内部に浸入し、家の構造に深刻なダメージを与えてしまいます。
大切なのは、小さなサインを見逃さず、早期に専門家による点検と補修を行うことです。
ぜひこの記事を参考にして、適切な雨漏り対策を行い、快適なお住まいを実現してください。
