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スレート屋根の「下地」が重要ってホント?劣化サインと修理のポイントをプロが解説
はじめに

スレートは近年人気の屋根材の一つです。
スレートは定期的なメンテナンスの必要な屋根材ですが、「屋根のメンテナンス」と聞いて、まず思い浮かぶのは屋根材のひび割れや塗装ではないでしょうか。
しかし、家を雨風から守る上で本当に大切なのは、屋根材そのものよりも、その下に隠れている「下地」の健康状態です。
どんなに優れた屋根材を使っていても、下地が傷んでいては本来の性能を十分に発揮できません。
そこでこの記事では、スレート屋根の下地を構成する部材と役割や劣化のサイン、下地の劣化を放置するリスクや修理方法についてご紹介します。
スレートの下地についてお悩みの方はぜひ参考にしてください。
スレート屋根の「下地」を構成する3つの重要部材とその役割

スレート屋根は、屋根材そのものだけでなく、複数の部材が組み合わさって初めて家を雨から守る役割を果たします。
その中でも、特に重要な「下地」は以下の3つの部材です。
まず、屋根の骨組みとなる木材を垂木(たるき)と呼びます。
これは屋根の傾斜に沿って並べられ、屋根全体の重みを支える土台となる部分です。
次に、この垂木の上に張る構造用合板(複数の薄い板を接着して作った板材)が野地板です。
この野地板が屋根の平らな面を作り、屋根材を釘で固定する役割も担います。
そして、この野地板の上に敷く防水性の高いシートがルーフィング(防水シート)です。
ルーフィングは屋根の「最後の砦」とも呼ばれ、屋根材の隙間から浸入した雨水が野地板や建物内部に到達するのを防ぐ重要な役目を果たします。
これら3つの部材が一体となって、私たちの暮らしを雨水から守っているのです。
屋根材が「一次防水」の役割を担うのに対し、ルーフィングが「二次防水」の役割を果たすことで、二重の防水構造が成り立ちます。
ちなみにスレート屋根の種類や特徴については以下の記事で詳しく紹介しています。
ぜひ合わせてご確認ください。
▶︎スレート屋根の種類と特徴:メンテナンスまでご紹介!
これを見逃すな!スレート屋根下地につながる「劣化サイン」

スレート屋根の劣化は、必ずしも屋根材の損傷だけが原因とは限りません。
一見、軽度な劣化に見えても、実は下地の深刻なトラブルにつながっていることがよくあります。
さらに、屋根材にひび割れや欠けが見られる場合は、劣化がかなり進行している証拠です。
飛来物などの物理的な衝撃の他に、屋根材が吸い込んだ水分が凍結と融解を繰り返す「凍害」によって引き起こされることもあります。
この状態を放置すると、雨水が直接下地のルーフィングに到達しやすくなってしまうのです。
また、屋根材の反りや浮き上がりも危険なサインです。
屋根材が反ったり浮き上がったりしていると、強風でめくり上がりやすくなり、屋根材を固定している釘が抜けたり、下地の野地板が腐食したりする危険性が高まります。
特に屋根の頂上部にある金属製のカバー「棟板金(むねばんきん)」の浮きや釘抜けは要注意です。
棟板金を固定している釘やビスが緩んで隙間が生じると、そこから雨水が浸入し、下にある貫板(ぬきいた:棟板金を固定するための木材)を腐食させてしまうのです。
貫板が腐ると棟板金の固定力が弱まり、強風で板金が飛ばされてしまう危険性も出てきます。
これは近隣住宅や通行人に被害を及ぼす重大なトラブルにつながりかねません。
なぜ下地が重要なのか?放置する3つの深刻なリスク

屋根材の表面的な劣化を放置し、下地まで影響が及ぶと、以下のような深刻なリスクが発生し、家全体の寿命を縮めることになります。
雨漏りによる建物の構造体への影響
ルーフィング(防水シート)が劣化して雨水が建物内部に浸入すると、屋根を支える垂木や梁(はり)、柱などの構造体が腐食する原因となります。
建物の骨組みが傷んでしまうと、耐久性や耐震性が著しく低下し、家の寿命を短くしてしまうのです。
シロアリやカビの発生
湿気がこもった野地板や垂木は、シロアリやカビの格好の繁殖場所となってしまいます。
特にシロアリは木材を食べて建物を内部から蝕んでいくため、気付いた時には深刻な被害が広がっていることも珍しくありません。
健康被害やアレルギーの原因となるカビも同様に危険です。
修繕費用の増大
屋根材の補修だけで済む初期の段階でメンテナンスを行えば、費用を抑えることができます。
しかし、下地まで傷んでしまうと、部分補修では対応できなくなり、屋根全体を葺き替える「葺き替え工事」や、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねて張る「カバー工法」といった大規模な工事が必要になります。
下地を交換する費用も発生するため、結果的に当初の何倍もの高額な修繕費用がかかってしまうのです。
下地まで傷んだスレート屋根の補修・修理方法と費用相場

下地まで劣化が進行した場合、多く行われるのは「葺き替え工事」です。
葺き替え工事では、まず劣化が激しい既存のスレート屋根材を全て撤去します。
その後、野地板や垂木の状態をプロの目で細かくチェックし、腐食や傷みがある場合は、新しい木材に交換するなどして下地を補修します。
下地が健康な状態になった上で、新しいルーフィングを軒先から棟先に向かって隙間なく貼っていきます。
その上に新しいスレート屋根材を正確に施工し、釘などでしっかりと固定するのです。
最後に、棟部分の仕上げとして、棟板金の下に新しい貫板を設置し、棟板金をしっかりと固定して雨水が浸入しないように仕上げます。
まとめ
スレート屋根のメンテナンスは、下地までしっかりと診断し、適切な工事を行える業者に依頼することが非常に重要です。
特に、下地は屋根材を剥がさないと状態がわからないため、信頼できるプロの診断が不可欠です。
ぜひこの記事を参考にして、スレート屋根、特に下地のメンテナンスを検討してください。
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