- 日々のお仕事ブログ
- 【天窓 エプロンが鍵】雨漏りリスクを徹底解説!プロのメンテナンス方法もご紹介
【天窓 エプロンが鍵】雨漏りリスクを徹底解説!プロのメンテナンス方法もご紹介
はじめに
 
屋根に設置された「天窓」は、室内を明るくし、開放的な空間を演出してくれる魅力的な設備です。
しかしながら、天窓にはその魅力の裏側で、「雨漏りしやすい」という大きなリスクが潜んでいます。
屋根という非常に過酷な環境に設置されているため、どんなに頑丈な製品であっても、経年劣化は避けて通れません。
特に雨漏りの原因として、その名があまり知られていないにもかかわらず非常に重要な役割を担っている部材があります。
それが、本記事のテーマである「エプロン(水切り)」です。
エプロンの存在を知り、適切なタイミングでメンテナンスを行うことが、天窓の寿命を延ばし、家全体を雨漏りから守る鍵となります。
天窓の雨漏りはなぜ起こる?主な4つの原因を解説
 
天窓から雨漏りが発生する原因は一つではなく、多くの場合、複数の要因が絡み合って起こります。
天窓設置箇所は屋根の中でも特に水が溜まりやすく、また複雑な構造をしているため、雨水浸入のリスクが高いのです。
主な原因として、以下の4点が挙げられます。
コーキング(シーリング)やパッキンの劣化
天窓周辺で最も頻繁に発生する雨漏り原因が、コーキング(シーリング)とパッキンの劣化です。
コーキングとは、窓枠と屋根材の隙間や、天窓本体のつなぎ目を埋めている充填材のことで、パッキンはガラスと窓枠の隙間などに使われるゴムや樹脂製の部材を指します。
これらの素材は、雨や風、そして屋根の上で特に強烈な紫外線を常に浴びている消耗品です。
そのため、耐用年数は約10年程度と比較的短く、劣化すると弾力がなくなり、ひび割れたり、屋根から剥がれたりします。
この小さな隙間から雨水が内部に浸入し、雨漏りへと繋がってしまうのです。
ルーフィングやエプロンの劣化
屋根材の下には、ルーフィングという、万が一屋根材を雨水がすり抜けた際に浸入を食い止める最後の砦となるシートが敷かれています。
また、屋根材が瓦など表面に凹凸がある場合、天窓と屋根材の隙間を埋め、雨水をスムーズに流すためにエプロンという金属板が使われます。
天窓の取り付け部分では、このルーフィングやエプロンが複雑に加工されて取り付けられています。
経年によりルーフィングの防水効果が失われたり、後述するエプロンが損傷したりすることで、雨水の浸入を防ぎきれなくなります。
ガラス部分の破損
天窓には強度の高いガラスが使用されていますが、台風による飛来物が当たったり、近年増加している雹が降ったりすることで、ガラスにヒビが入ったり割れたりすることがあります。
また、急激な気温差によってガラスに負荷がかかり、破損するケースも確認されています。
ガラス自体の破損は、防水機能が完全に失われるため、雨漏りに直結する非常に危険な原因です。
天窓枠の歪み、錆び、腐食
天窓の枠組みや、その土台となる野地板(のじいた:屋根材を支える土台となる板)などの下地が、長年の雨漏りや結露によって腐食することがあります。
枠が歪んだり、金属部分に錆が発生したりすると、天窓全体の固定力が低下し、小さな隙間ができてしまいます。
この隙間から浸入した雨水が、最終的に室内に雨染みを作ってしまうのです。
また天窓の雨漏りに関しては以下の記事でも詳しくご紹介しています。
ぜひ併せてご確認ください。
▶︎天窓の雨漏りの原因や必要なメンテナンスをご紹介!
天窓「エプロン(水切り)」の役割と雨漏りとの関係
 
数ある雨漏り原因の中でも、天窓独自の構造上、非常に重要な役割を担っているのが「エプロン(水切り)」です。
屋根材の種類によっては、この部材の劣化が雨漏りに直結します。
エプロンの基本と「水切り」の役割
エプロンは、主に瓦屋根やセメント屋根材など、表面に凹凸がある屋根材で特に重要な役割を果たします。
天窓の軒先側に取り付けられる金属板で、「水切り」とも呼ばれる通り、天窓を伝って流れ落ちてきた雨水を、スムーズに屋根材の外側へ流し出すことが最大の目的です。
天窓を屋根に設置する際、天窓のフレームと屋根材の間にはどうしても段差や複雑な隙間が生じてしまい、この隙間を放置すると、雨水が溜まって内部に浸入してしまいます。
エプロンは、素材が柔らかい金属でできているため、この複雑な屋根材の形状に合わせて自由自在にフィットさせることができ、雨水の滞留を防ぐ役割を果たしています。
エプロンの劣化による雨漏りの仕組み
エプロンの素材は、昔は厚みと重みのある鉛製が主流でしたが、現在は軽量化されたアルミ製が一般的です。
アルミ製の薄いエプロンは、主に以下の要因で劣化し、雨漏りに繋がります。
まず、現在主流のアルミ製エプロンは、軽いため、瓦の表面にブチル系の接着剤などで貼り付けられています。
この接着剤は、屋根の高温によって熱劣化しやすく、経年で粘着力が失われてしまうのです。
粘着力が落ちた状態で台風や強風に晒されると、エプロンがめくれ上がってしまい、屋根材との間に隙間ができてしまいます。
エプロンがめくれ上がると、屋根材として必要な重なり幅が不足し、雨水がエプロンの下から浸入し、ルーフィングや野地板を濡らして、雨漏りが発生するのです。
天窓の雨漏り対策と修理の選択肢
 
天窓から雨漏りが起きた、またはその兆候が見られた場合、劣化の程度に応じて適切な修理方法を選ばなくてはなりません。
軽度な劣化の場合
雨漏りがコーキングやパッキンの劣化のみが原因である場合は、その部分の補修を行います。
劣化したコーキングを全て撤去し、新しいコーキング材を打ち直す「打ち直し」という方法が基本です。
パッキンが劣化している場合は、新しいパッキンに交換します。
軽度のエプロンのめくれや浮きが見られる場合も、専門の接着剤などを用いて屋根材に密着させ直す補修が可能です。
中度・重度の劣化(下地・本体の腐食)の場合
エプロンが大きく破損している、ルーフィングが劣化している、野地板が腐食しているなど、下地に関わる部分にまで問題が及んでいる場合は、より大規模な工事が必要です。
まずは天窓周辺の瓦や屋根材を一度剥がし、劣化・腐食したエプロン、ルーフィング、野地板を交換・補修します。
その後、新しい防水部材を正確に設置し直した上で、屋根材を元の状態に戻していきます。
また、天窓本体の枠組みにまで錆や腐食が進んでいる場合は、部分補修が難しくなります。
この場合は、天窓ごと新品に交換するか、天窓自体を撤去し、その部分を屋根材で完全に塞いでしまう「天窓撤去工事」が最善の対策です。
天窓撤去工事は、採光性は失われるものの、将来的な雨漏りのリスクを完全に排除できるというメリットがあります。
まとめ
天窓は採光と美観に優れた設備ですが、雨漏りリスクと常に隣り合わせであることをご理解いただくことが大切です。
そのリスクを未然に防ぎ、建物の寿命を延ばす鍵となるのが、コーキングやパッキン、そして屋根材と天窓を繋ぐ「天窓 エプロン」をはじめとする防水部材の定期的な点検とメンテナンスです。
ぜひこの記事を参考にして、天窓のメリットを最大限活用し、快適なお住まいを実現してください。
