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屋根の適切な勾配は?:おすすめの勾配をご紹介!!
はじめに

屋根の勾配は、住宅の機能性、耐久性、そして美観を左右する非常に重要な要素です。
しかし普段は意識することがないため、「屋根の勾配」と言われてもピンとこないことがほとんどなのではないでしょうか。
そこで、この記事では、屋根の勾配に関するお客様の疑問を解消し、適切な屋根選びの一助となる情報を提供いたします。
屋根の勾配について気になる方はぜひ参考にしてください。

屋根の勾配は、水平面に対する屋根の傾斜度合いを示すものです。
一般的に「寸勾配」という単位で表現されます。これは、水平に10寸(約30.3cm)進んだときに、垂直方向に何寸立ち上がるかを示します。
例えば、「4寸勾配」であれば、水平に10寸進むと垂直に4寸高くなる傾斜を意味します。
この勾配によって、屋根は大きく三つのタイプに分けられ、それぞれの勾配が持つ特徴を理解することは、適切な屋根を選ぶ上で非常に大切です。
緩勾配
3寸未満の緩やかな傾斜で、モダンな印象を与えることが多いです。
雨水が流れにくいため、防水性の高い屋根材や防水処理が重要になります。
並勾配
3寸~5寸程度の、日本の一般的な住宅で最も多く採用されている勾配です。
雨水や雪の排水効率と、施工性、メンテナンス性のバランスが取れています。
急勾配
6寸以上と非常に傾斜が強く、和風建築や景観を重視する住宅によく見られます。
雨水や雪の排水性が非常に高く、屋根材への負担が少ないのが特徴です。
勾配が屋根と住まいに与える影響

屋根の勾配は、雨、雪、風といった自然現象に対する屋根の性能に大きく影響します。
雨水への影響
勾配が急なほど、雨水はスムーズに流れ落ちます。
これにより、屋根材の表面に水が滞留する時間を短縮でき、雨漏りのリスクを軽減し、屋根材の劣化を遅らせる効果が期待できます。
緩勾配の場合、雨水が流れにくいため、屋根材の継ぎ目からの浸水や、屋根材表面に藻やコケが発生しやすいです。
そのため、緩勾配の屋根には、ガルバリウム鋼板のような高い防水性を持つ屋根材や、入念な防水施工が不可欠です。
雪への影響
積雪の多い地域では、急勾配の屋根がおすすめです。
急勾配であれば、雪が自然に滑り落ちやすく、屋根に積もる雪の量を減らすことができます。
これにより、屋根や建物にかかる積雪の重さを軽減し、建物の構造への負担を最小限に抑えることが可能です。
一方で、緩勾配の屋根では雪が滞留しやすく、雪下ろしなどのメンテナンスが必要になる場合があります。
落雪による事故を防ぐため、雪止め(屋根からの落雪を防ぐための金具や部材)の設置も検討が必要です。
風への影響
風の影響を考慮すると、並勾配ややや緩やかな勾配の屋根が有利な場合があります。
急勾配の屋根は風を受ける面積が大きくなり、強風による屋根材の飛散リスクが高まる可能性があります。
特に台風の多い地域では、屋根材が風圧によって持ち上げられないよう、施工方法や屋根材の選定への注意が必要です。
地域と建物の特性に応じた選び方

お客様の住まいが建つ地域の気候条件や、建物のデザイン、そしてお客様のライフスタイルによって最適な勾配は異なります。
一般的な住宅の場合
多くの住宅では、並勾配(3寸~5寸)が採用されています。
これは、雨や雪の排水性、施工のしやすさ、そして一般的な屋根材との相性が良いなど、総合的なバランスに優れているためです。
デザインの自由度も高く、様々な建築様式に調和しやすい点も魅力です。
寒冷地や多雪地域の場合
北海道や東北、北陸などの積雪量の多い地域では、急勾配(6寸以上)の屋根が推奨されます。
雪が自然に滑り落ちやすいため、雪下ろしの手間を省き、屋根への負担を軽減します。
また、小屋裏空間を広く確保できるため、断熱材の充填や、屋根裏部屋としての利用も検討できます。
台風の多い地域の場合
九州や沖縄など、台風の襲来が多い地域では、やや緩やかな勾配の屋根や、風に強い構造の屋根が適していることがあります。
急勾配の屋根は風の影響を受けやすいため、屋根材の固定方法や、下地の補強を通常以上に強化する必要があります。
屋根勾配を選ぶ際の重要なポイント

屋根の勾配を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが大切です。
耐久性とメンテナンス性
急勾配の屋根は、雨水や雪が流れやすいため、屋根材への負担が少なく、長期的な耐久性が期待できます。
また、屋根材の劣化が遅れることで、メンテナンスの頻度を抑えることができる場合が多いです。
一方で、緩勾配の屋根は、雨水が滞留しやすいため、定期的な点検や清掃がより重要になります。
特に落ち葉などが溜まりやすい環境では、こまめなメンテナンスが不可欠です。
デザインと周辺環境との調和
屋根の勾配は、住宅全体の印象を大きく左右するデザイン要素の一つです。
急勾配の屋根は堂々とした印象を、緩勾配の屋根はモダンでシンプルな印象を与えます。
また、周辺の建物や自然景観との調和も考慮することで、より魅力的な住まいが実現します。
例えば、周囲の山並みに合わせて緩やかな勾配にする、といった工夫も考えられます。
屋根材との相性
屋根材にはそれぞれ適した勾配があります。
例えば、日本瓦は比較的急な勾配に適していますが、アスファルトシングルは緩勾配でも使用できます。
必要に応じてご相談いただければ、お客様のご希望の屋根材と、最適な勾配の組み合わせをご提案いたします。
まとめ
それぞれの屋根材に応じて屋根の勾配は異なります。
また勾配の違いはメンテナンスのしやすさにも影響を及ぼすので、注意が必要です。
ぜひこの記事を参考にして、お家にあった屋根の勾配を選んでください。
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